K's blog

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【大企業人事の仕事(1)】MVVの設定と浸透

大企業メーカーの人事として

10年間を過ごす中で学んだ

「人事の仕事」についてまとめていきます。

1つ目は「MVVの設定と浸透」です。

1.MVVとは

MVVとは、ミッション、ビジョン、バリューのこと。

日本語では使命、理想像、行動指針と

言い換えられます。

ミッションとは、その組織の存在意義や目的のこと。

利益を超えて、そもそもその組織が何のために

存在しているのか、を明確にすることで

一人ひとりが自身の仕事を意味を腹落ちして

仕事に取り組むことができます。

 

ビジョンとは、目指す理想像のこと。

ミッションを達成するために

実現しなければいけない

組織の将来像を言語化したものです。

 

バリューとは、組織の価値基準や行動規範。

ミッションやビジョンを実現するために、

社員がどのような価値基準で行動すべきかを

定めたものです。

ミッションの達成のためには

ビジョンを実現する必要性があり、

ビジョンを実現するためには

バリューに則った行動が必要になる、

という関係です。

 

2.MVVを設定する意味

MVVという言葉をよく聞くようになったのは

この5年ほどだと感じます。

特にベンチャー企業で使われ始め、

次第に大企業でも使われるように

なってきた実感があります。

 

2−1.働き手の目線

最近は転職が当たり前になり

人材の流動性が高まっています。

そのような中、会社を選ぶ基準として

「企業が何のために事業をしているのか」

を重視する人が増えていると感じます。

また、入社してからも

自身の仕事が最終的に世の中に

どんなインパクトを与えているのかを

意識しながら働く人が増えています。

 

そのような「働きがい」や

「その会社で働くことへの納得感」を

感じてもらうためにも、

MVVを目に見える形で示すことが

必要だと感じます。

 

2−2.企業側の目線

VUCAと呼ばれるような

正解のない時代には、

社員一人ひとりが会社の方針に則って

自律的に考え行動することが必要です。

そのような中で

社員の自律的な行動の

セーフティゾーンを示すのが

MVVといえます。

MVVが明文化されていれば、

会社の方向性や方針とずれることなく

社員は自律的に行動することが可能です。

 

会社の目線では、

社員の自律的な行動を引き出す前提として

MVVを明文化しておくことが必要です。

 

3.MVVを社内に浸透させる

社員の自律的な行動を促す観点では、

MVVは言語化するだけでなく

浸透させることが大事です。

 

昨今は大企業であっても

従業員の自律的な行動を促すために

MVVを定義する会社が増えています。

 

ベンチャー企業の場合

会社の設立理念に共感した

少人数のメンバーで構成されているため、

MVVの浸透はスムーズかもしれません。

 

しかし、大企業の場合、

年齢や職層も多種多様な多くの人で

企業が構成されており、

MVVの浸透に苦労している会社が多い印象です。

 

浸透にあたっては、

・MVVの設定の段階で社員を巻き込む

・共感を呼ぶために

 多様な手段で継続的にMVVを発信する

といったことが必要になります。

 

3−1.設定の段階で社員を巻き込む

MVVを設定し言語化する際に

人事や経営企画の一部メンバーだけで

検討を進めるのではなく、

広く社員を巻き込むべきだと思います。

 

一部メンバーだけで検討したMVVは

社員からすると唐突感を感じ、

自分事にし難いものとなります。

 

しかし検討の段階から社員の声を聞き、

検討状況も公開している場合には

社員は制作過程にも関わった

「自分達のMVV」と感じやすくなります。

 

3−2.多様な手段で継続的に発信する

社員の入れ替わりも激しい昨今、

MVVを設定して満足するのではなく

動画やメールや社内SNSなど

多様な手段を使って継続的にMVVを

発信する必要があります。

 

また、特にバリュー(行動規範)については

評価制度の評価軸に織り込むことで

具体的な行動を促せるとともに、

浸透させることにも多いに役立ちます。