【大企業人事の仕事(6)】評価制度の設計と運用
大企業メーカーの人事として
10年間を過ごす中で学んだ
「人事の仕事」についてまとめていきます。
6つ目は「評価制度の設計と運用」です。
1.評価とは
人事評価とは、
社員の状態(能力や働きぶり)を評価し、
その結果を処遇や配置に反映するための
一連の仕組み・活動のことです。
評価には当然「評価基準」がありますが
これは会社が社員に「何を期待しているか」を
表現したものです。
評価制度を設計するにあたっては
会社(経営者)が社員に何を期待しているのかに
基づいて設計を進める必要があります。
2.評価制度の設計の進め方
2−1.MVVの確認
上述の通り、評価制度は
会社が社員に何を期待しているのかをもとに
設計を進めるべきものです。
そのため、まずは
MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を
確認するところから始めます。
2−2.社員区分の確認
評価を行うためには
評価の単位である評価区分を決める
必要があります。
その前提として、会社の社員区分を確認します。
2−3.評価要素の検討
上述のMVV、社員区分を踏まえ、
「誰の何を評価するか」を検討します。
全社員共通の評価要素もあれば、
社員区分ごとに異なる評価要素もあるはずです。
主な評価要素には以下のものがあります。
①潜在能力:その人が保有している専門能力
②労働意欲:能力発揮しようとするモチベーション
③発揮能力:①②の結果、実際に発揮された能力
④職務の大きさ:職務の難易度や責任の大きさ
⑤成果:①〜④の結果としての最終成果
会社として社員に期待するものを踏まえ、
これらを組み合わせて評価要素を決定します。
2−4.評価方法の検討
2−3で検討した評価要素を
「誰が、いつ、どうやって」
評価するかを検討します。
日本企業で一般的な評価方法は
「目標管理制度」に基づくもの
ではないかと思います。
目標管理制度では
年に1度や半年に一度、
その期の目標を上司部下で合意し、
達成度合やその過程で発揮された能力を
期末に評価するものです。
この仕組みでは
普段から部下の様子を最も身近で
観察している上司が評価者となります。
また、上司以外にも、
同僚や人事が評価者になるケースもあります。
例えば、ここ5年ほどで
大企業でも取り入れられ始めた
360度評価では、上司や同僚が
その人の普段の様子を評価します。
また、昇格前のタイミングなどは
人事との面談を行い、
人事の目線で評価を行うこともあります。
このような形で、
目的に応じて評価の仕方も組み合わせて
対応することになります。