K's blog

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【大企業人事の仕事(2)】社員区分と格付け制度の設計

大企業メーカーの人事として

10年間を過ごす中で学んだ

「人事の仕事」についてまとめます。

2つ目は「社員区分と格付け制度の設計」です。

1.社員区分と格付け制度とは

人事の仕事には採用・教育・処遇など

さまざまなものがありますが、

この社員区分と格付け制度が

他の全ての制度の土台になります。

そのため、1から人事制度を設計する場合、

まずは社員区分と格付け制度を

設計することが必要となります。

 

1−1.社員区分

社員区分とは、その会社で必要とされる

「社員群」を定義するものです。

社員群を定義するには

・仕事の内容(技術職と事務職)

・キャリアの期待値(一般職と総合職)

・キャリア段階(育成期と成果発揮期)

・働き方の違い(正社員とパート社員)

などを考慮する必要があります。

最適な社員区分を定義します。

 

社員区分は多すぎても管理が大変です。

しかし、市場価値が大きく違う職種を

一つの社員区分に入れてしまうと

採用競争力を失ってしまう恐れもあり、

少なすぎることも問題です。

 

そのため、区分の仕方に絶対的な正解はなく

企業ごとに最適な区分を探ることになります。

 

1−2.格付け制度

格付け制度は社員区分ごとに

社員を格付ける(偉さを決める)

仕組みのこと。

 

・勤続年数や潜在能力(人間系)

・発揮能力や業務内容(仕事系)

・成果や市場価値(市場系)

などを考慮しながら

社員区分ごとの格付け制度を決めます。

 

格付け制度は処遇や昇進に直結する

人事制度の根幹であると同時に、

「会社が何を評価するか」という

メッセージにもなります。

 

2.社員区分と資格制度の種類

2−1.社員区分の種類

代表的な社員区分には、前述の通り

・仕事の内容(技術職と事務職)

・キャリアの期待値(一般職と総合職)

・キャリア段階(育成期と成果発揮期)

・働き方の違い(正社員とパート社員)

などがあります。

 

この他にも、昨今では高度IT人材の

市場価値が上がっており、

適正な処遇のために職種を独立させる会社も

多くあります。

 

また、配置転換時の地域が限定された

地域限定社員」や、

嘱託契約を結び特定業務のみを行う

「嘱託社員」といった社員区分が

設けられる場合もあります。

 

2−2.格付け制度の種類

代表的な格付け制度には

職能資格制度や職務等級制度があります。

 

職能資格制度とは、

社員の職務遂行能力を判定し、

それに応じて資格等級を定める制度です。

 

あくまでも能力をもとに

資格等級が定まっているため、

部長や次長といった役割・職位と

資格等級が1対1でリンクしている

わけではありません。

 

この制度は新卒入社が多く、

長期的な育成を前提とした

日本企業で多く取り入れられてきました。

 

ゼネラリストを長期的に育成するには

優れた制度である一方で、

年功序列になりやすかったり

評価軸が抽象的であったりなど、

デメリットもあります。

 

次に、職務等級制度とは、

仕事の内容や難易度といった

職務(仕事)の価値に応じて

等級を設定する制度です。

 

いわゆる「ジョブ型」の一種で、

職務ごとに職務の内容を分析・評価し、

他の職務と比較の上で等級を決定します。

 

処遇もこの等級に紐づいているため

年功的な要素はなく、

純粋に職務の価値に応じて処遇されます。

 

この制度は市場価値に近い形で

適正に処遇することができる一方で、

異動・配置の柔軟性には乏しく、

ゼネラリストの育成には不向きと言えます。