K's blog

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【本】幸せのメカニズム【読書メモ】

タイトルの通り「幸せ」を科学的に解説した一冊。

 

アンケート結果をコンピューターにかけ、因子分析を行いました。

 その結果、(幸せの)四つの因子が求まりました。

 

他の幸せ本のようにスピリチュアルな要素はなく、

サーベイを元に科学的に分析しているので納得感がある。

250ページ程度の文庫なのでさらっと読めます。

 

「組織の"成果"とメンバーの"幸せ"を両立」

しようと悩むマネージャーの方にもおすすめです。

 

 

幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 (講談社現代新書)

幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 (講談社現代新書)

 

 

 

以下、印象的だった箇所を備忘も兼ねて書き留めます。

 

P20

幸せは多様だが、基本メカニズムは単純なのではないか。

人間の脳が幸せと感じるための基本的なメカニズムを明らかにして、

それを元に、全体幸福への道筋を明確化したい。

 

P63

四十五万人のアメリカ人に対する調査によれば、

「人生満足度」は個人の収入とともに増加した一方、

「感情的幸福」は七万五千ドル付近までしか年収に比例しませんでした。

「人生に満足していますか」という問いへの答えは年収に比例したのに、

「楽しいですか」という問いへの答えは、

年収が七万五千ドルを超えると年収は無関係になっていたという事です。

要するに、大金持ちになっても、人生満足度は上がっていくのに、

楽しくはなっていかないという事です。

 

P80

カレンダー◯✖️法は「自分の幸せに何が影響するか」

「自分はどれくらい幸せか」を人は意外と知らない、ということを

気づかせてくれる方法の一つです。

やりかたは簡単。毎日寝る前など、1日の終わりに、

今日はいい日だったかどうか振り返ります。

そして幸せだったら◯、不幸せだったら✖︎、

中くらいだったら△を手帳に書きます。

できれば、その理由を簡単に書き添えておきます。

これを毎日繰り返すだけです。

私の場合、自分の幸せというのは、何か新しいことを思いついたときや、

新しい仕事上の成果を上げた時に訪れるものだと思っていました。

ところが、◯がついたのは、新しく面白い人にあった、など

対人的な幸せばかりだったのです。

 

私たち人間の認知は、杓子定規な数学的解釈では表せないような

癖のある特徴を持っていて、しかも、それを自分自身が

分かっていないものであるということです。

 

P103

心的特性についての二十九項目八十七個の質問を、

インターネットで千五百人の方にアンケートしました。 

 次に、アンケート結果をコンピューターにかけ、因子分析を行いました。

 その結果、四つの因子が求まりました。

命名した四つの因子と、それぞれに関連深かった(因子負荷量が大きかった)

質問をいくつか紹介しましょう。 

 

第一因子「やってみよう!」因子自己実現と成長の因子)

・コンピテンス(私は有能である)

・社会の要請(私は社会の要請に応えている)

・個人的成長(私のこれまでの人生は、変化、学習、成長に満ちていた)

自己実現(今の自分は「本当になりたかった自分」である)

大きな目標を持っていること、大きな目標と目前の目標が

一致していること、そして、そのために学習・成長しようと

していることが幸せに寄与している。

 

第二因子「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)

・人を喜ばせる(人の喜ぶ顔が見たい)

・愛情(私を大切に思ってくれる人たちがいる)

・感謝(私は、人生において感謝することがたくさんある)

・親切(私は日々の生活において、他者に親切にし、手助けしたいと思っている)

周りとの安定した関係(親近性)を目指す因子。

 

第三因子「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)

・楽観性(私はものごとが思い通りにいくと思う)

・気持ちの切り替え(私は学校や仕事での失敗や不安な感情をあまり引きずらない)

・積極的な他者関係(私は他者との近しい関係を維持することができる)

・自己受容(自分は人生で多くのことを達成してきた)

 

第四因子「あなたらしく!」因子(独立とマイペースの因子)

・社会的比較思考のなさ(私は自分のすることと他者がすることをあまり比較しない)

・制約の近くのなさ(私に何ができて何ができないかは外部の制約のせいではない)

・自己概念の明確傾向(自分自身についての信念はあまり変化しない)

・最大効果の追求(テレビを見るときはあまり頻繁にチャンネルを切り替えない)

人の目を気にせず、自分のペースで幸せに向かう。

 

P113

幸せのクラスター分析

千五百人のアンケート回答者の回答の近さを計算。

その結果、人々が五つのグループに別れました。

結論から言うと、色々な幸せのパターンがあると言うよりも、

四つを全部満たしていると幸せ、どれかを満たしていないと

幸せ度が下がり、全部満たしていないと一番不幸、

という結果になりました。

四つ全てを満たした最も幸せなグループは全体の二十%。

 

 P126

自分は何が面白くて、何を求めているのかを、

明確にわかっている人こそ、幸せな傾向がある。

 

 P146

どんな(人との)つながりがいいか、については面白い条件があります。

親密な他者との社会的なつながりの多様性(多様な人と接すること)と

接触の頻度が高い人は主観的幸福が高い傾向がある一方、

つながりの数(接する人の数)は主観的幸福にあまり関係しない

 と言う結果があります。

要するに、友達(親密な他者)が多いかどうかはあまり幸福には

関係ありません。

これに対し、多様な友達がいることは、幸せと相関があります。

つまり、色々な職業、色々な年齢、色々な性格、色々な国籍の友達を

 持っている人の方が、そうでない人よりも幸せなのです。

  

P226

美しいものを多く鑑賞している人は、

思ったほど幸せではありませんでした。

美しさの鑑賞と主観的幸福の相関はさほど高くなかったのです。

美しいものをいくら鑑賞しても、

みんなが幸せになれるわけではありませんでした。

一方、美しいものを作っている人は幸せでした。

ロックバンドで演奏している人も、絵を描いている人も・・・

何かを作っている人はみんな、幸せな傾向があったのです。

美しいものをただ見ているだけでは幸せになれないが、

美しいものを想像している人は幸せになれる。

創造は「自己実現と成長」に関係しそうです。